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音楽劇『母さん』沖縄公演・東京公演・四国演劇鑑賞会例会情報

『母さん』サトウハチローの詩と母のものがたり

作:堀江安夫 演出:横山由和 音楽:新垣雄


「母さん」に寄せて 堀江安夫

 一度だけ、お袋が号泣するのを見たことがある。中学生の頃だ。二つ年上の兄貴と寄ってたかって文句を並べていた時、何かが癇に障ったのだろう、それまで鼻先で聞いていたお袋が突然「まさか・・・」といった顔で私達を見詰めたかとおもいきや、瞬く間に大声で泣きじゃくり出したのである。どんな悪態を吐いたかは覚えていない。
 が、その時のお袋にとっては余程胸を抉られる痛みだったに違いない、まさしく滂沱の涙を流し畳をたたきながら抗議する姿に、兄と私はただただ狼狽え困るばかりであった。元々涙脆い人ではあったが、身を捩るほどの慟哭を見せられたのはあの時が最初で最後である。
 サトウハチローの母さん、春さんは滅多に感情を顕わにすることはなかったというが、本当にそうか。佐藤紅緑が「我恋は炭のほむらの燃に易き」とまで情熱を傾けた女性である。生い立ちや育った環境を辿れば溌剌とした娘盛りの春さんが、私には目に浮かぶ。
 それが一転、陰影を深くしたのはその後の変転であろう。相次ぐ子どもの夭逝、羊のように小さな躯を蝕む宿痾、そして夫との離縁、家族との別離—おそらく春さんは声なき声で子供達の将来を思い、ままならぬわが身を呪い、泣きじゃくっていたのではないか。
 突拍子もないお袋の姿を思い出した時、私の役目はそんな春さんが胸底に秘めた号泣に、少しだけ耳を傾けることではないかと思うようになっていた。

母さん

出演者:
出演者


『母さん』舞台写真戦後60年がたち日本中が経済復興に躍起になり、物が溢れるほど豊かになりました。しかし反面心が貧しくなり家族の形さえ崩れかけてしまっています。経済成長の中で女性が社会進出を果たし、自立できる環境が整う一方、残念な事に離婚が増加し子どもたちの心が生き場を失い、泣き叫んでいるように思えてくるのです。
この深刻な時代にサトウハチローの生い立ちの中から現代の少年の孤独感、喪失感そして、家族の暖かい絆の大切さを感じ取って戴ければと思います。


2008年「母さん」公演スケジュール (沖縄)
6/21(土) 読谷村文化センター 6/22(日) うるま市民芸術劇場
6/23(月) 浦添市てごたホール 6/26(木) パレット市民劇場
6/27(金) パレット市民劇場 6/28(土) パレット市民劇場

2008年「母さん」公演スケジュール (東京)
7/2(水) 大田区民プラザ 7/3(木) 大田区民プラザ
7/4(金) 大田区民プラザ    

2008年「母さん」公演スケジュール(四国)
7/10(木)18:30開演 徳島市民劇場 7/11(金)13:30開演 徳島市民劇場
7/12(土)13:30開演 徳島市民劇場 7/13(月)18:30開演 鳴門市民劇場
7/14(火)18:30開演 阿南市民劇場 7/16(水)18:30開演 丸亀市民劇場
7/17(木)18:30開演 高松市民劇場 7/18(金)13:00開演 高松市民劇場
7/19(土)18:00開演 今治市民劇場    

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